前回の続きから

 「出てこいっ!」叫ぶけれどヤツは出てこない。
刻々と時間が過ぎていきます。朝の入れ食い状態の貴重な時間。
「切って次のヤツを狙うか?だが5kオーバーの石鯛だったらどう
しよう?」あきらめがつかないまま決断しないといけません。
 「おもいっきり引っ張って切れたらあきらめよう」引っ張った次の
瞬間、20号ナイロン道糸がむなしく切れました。
 茫然と感傷に浸っている時間はありません。すぐに仕掛けを作り
直し再度投入。今度は手持ちで攻めてみます。が、南西の風、竿に
向かって真横から吹き付ける風がきつく風下に竿を向けラインと水
平に90度で竿を持ちます。すると「ウィーン」と竿を持ったからだが
90度回転したかと思うと次は竿が海中めがけて突っ込んでいきま
す。「おもしろいっ!」そして「まだいるのか!」次の瞬間引きずり上
げた石鯛は3k弱の良型です。
 「もういないだろう」と仕掛けを投入するとまたしても当り。「ここは
男女群島か?」と思えるくらいの連続した釣果です。男女群島より
はるかに型のいい石鯛ばかりです。
 少し当りが遠くなり6枚目をあげて時間を見ると8時少しすぎてい
ました。ガンガゼも残り少なく海も一向にナギません。しかしおもし
ろくてたまりません。
 投入した仕掛けが風にあおられミスキャストしてしまいました。カウ
ンターは16とほとんど足元です。
 「まあ、いいかな。」そのまま竿受けにセットし当りを待ちます。かす
かな竿先を叩く当りがあって、つぎは穂先がズルズルと海中に引きず
られていきます。今までにない強い引き。必死にこらえ真っ白い海面
に姿を現した大型の石鯛。大きくて抜き上げが出来ません。波に乗
せて引きずり上げた7枚目は3.4kの立派な石鯛。当時の僕の磯か
らの記録魚です。(船から4kが最高)
 結局その日はもう1枚追加して合計8枚。10時にシケの為、納竿と
なりました。

 
その日から釣りも釣ったり2週間で30枚!
あまりに釣るものだから最初は遠慮して船を付けなかったK丸がみさ
かえなく真っ先にキリに付けだした。
 暗黙の了解で照三丸はワンド、K丸はコブと取り決めがあったのに
船が早い為、ワンド以外を占拠してしまった。
トラブルにならないはずはない。
 言いたくないが三ッ瀬の船たちの仲はよくない。船頭同志の仲が
よくないのに、客同志の仲がいいはずがない。
 石鯛シーズンが終わって翌年のシーズンにはキリは完全にK丸の
縄張りとなりました。
    まだまだ続くよ次回は 流血のナガテ!シーズン5にて。